Topics 2002年10月21日〜31日     前へ     次へ


21日(1) 401(k) なくなった改革ポイント(その2)
21日(2) 処方薬の処方箋
22日 WorldComの引き止めボーナス
23日 Bush版処方箋への反応
24日(1) 生産性の向上が政策目標
24日(2) 労働組合は集金マシーン
25日 企業が医療保険を提供する理由
29日 医療保険の新顔 Consumer-Driven Health Care
30日 WorldComの引き止めボーナス(その2)
31日 Executive達のseverance pay

21日(1) 401(k) なくなった改革ポイント(その2) 
Source : Interim Final Rule Relating to Notice of Blackout Periods to Participants and Beneficiaries and Civil Penalties, Civil Penalties Under ERISA Section 502(c)(7) (PWBA)
昨日のTopics 10月20日「なくなった改革ポイント」のフォローアップだ。詳細な規則案が、上記Sourceで見られる。

注目していたcivil penaltyについては、blackoutに関する加入者、受給者への通告が遅れた場合、1日の遅れにつき加入者・受給者一人あたり最高$100を、労働長官が科すことができるとしている。あまり自信がないのだが、civil penaltyとは、行政上の制裁金であり、国庫に入る性格のものだと思う。もし、それが正しければ、やはり、blackoutの通告義務違反により、従業員が損失を被ったとしても、その損失が補填されることはない。もちろん、民事裁判で勝訴すれば手に入るが、自動的に補填される、原状回復されるということにはならない。

そうだとすると、やはり、ブッシュ政権は、故意に改革ポイントを一つ落としたことになる。ちょっとずるいんではないかな。

21日(2) 処方薬の処方箋 Source : President Takes Action to Lower Prescription Drug Prices (White House)
高騰を続ける医療費、中でも最も高い伸びを見せている処方薬について、行政ルールを変更することで、ストップをかけようとする試みだ。具体的には、ここにポイントが掲載されているが、要するに、ブランド品の特許延長を1回に限定することで、genericの市場参入を早めようということだ。

薬価の抑制については、3つの手段(Topics 4月3日「薬価の抑制」参照)
1 安い輸入品(カナダ)を奨励する
2 genericの利用を促進する
3 薬市場の競争を促進するための法改正を行う
があると言われて来たが、今回の行政措置は、特許申請ルールを変更することで、2を促進しようというものだ。

特許の延長申請権が濫用されているという問題は、これまでにも指摘されてきたことだ(Topics 4月9日「Generics」5月30日「Generic訴訟」参照)が、漸く対策が講じられることになった。

議会では、同様の法案が既に下院を通過しているものの、上院案では、特許延長の条件がより厳しくなっており、大統領府が頑なに拒否してきた。

その結果、下院は通っているけど上院がその成立を阻んでいるという、401(k)の規制強化策と同じ構図ができ上がってしまったわけだ。ブッシュ大統領は、先週末の401(k)プラン、今日の処方薬対策と、続けざまに国民生活に関連した改革案を出してきた。これらは、近づいてきた選挙対策であることは間違いないが、民主党がコントロールする上院が国民生活の改善を阻んでいる、という構図を作り出してきた政治手法は、なかなかのものではないかと感じた。

22日 WorldComの引き止めボーナス Source : Wahsington Post, Business Section
WorldComが、325人の幹部、従業員を対象に、引き止めボーナス(retention bonus)を支払いたいと、連邦破産裁判所に申請を行った。総額2,500万ドルで、年間給与の35〜65%に相当する額という。

一人平均にすると、約77,000ドルである。これが年間給与の35〜65%相当ということは、これらの対象者は、平均約15万4,000ドルの年間給与を得ていることになる。日本で言えば、確定申告が必要な層であり、倒産、再建中の従業員が、これだけ高額の年間給与を得ているというのは、ちょっと想像しがたい。逆に言えば、それだけの給与を支払えるだけの営業収入があるということなのだろう。日本とは少し違う世界を見たような気がした。

それにしても、今回のretention bonusの対象とならなかった従業員の胸中は複雑だろう。幹部に対して新たにボーナスを払うということは、それだけ彼らが辞職する可能性が高いということ。幹部が辞職しようとするのは、再建がうまくいきそうもないと彼らが感じていることである。そうしたら、一般の従業員も辞めたいところだが、自己都合退職したのでは、severance pay(離職手当)がもらえない。それだったら、Chapter 11に入る前に解雇された方がよかったか、などと考えてしまうのではないだろうか。

ちなみに、WorldComは、今月18日、再建計画の提出期限の延長を、破産裁判所に申請した。まだまだ時間はかかりそうである。

23日 Bush版処方箋への反応 Source : Ending a Drug Patent Scam (New York Times)
21日に発表された、Bush大統領のgenericsの市場参入促進策(Topics 10月21日(2)「処方薬の処方箋」参照)への反応は様々だ。それらの反応は、ここにまとめられているので、ご参照ください。

反応のポイントは、次の3点。
  1. Brand-name製薬会社は不満たらたら。将来の収益が大幅に減る(今後10年間で515億ドル減)。立法手続きをとらずに行政ルールの変更で対応するのは、行政府の越権行為。訴訟するかも。
  2. Generic製薬会社は、ちょっと不満。ブッシュ版処方箋では、問題の70%しか解決できない。上院案(後述)だったら、訴訟を起こせて、賠償金も手に入ったのに。
  3. 上院民主党議員は、怒っている。自分達の法案と何が違うのか。Generic製薬会社が、Brand-name製薬会社を、特許濫用で訴訟を起こせるようにすれば、全く同じではないか。選挙対策であることが見え見えだ。
しかし、大半の国民の気持ちを代弁しているのが、上記Sourceの論説ではないだろうか。「大統領の提案は、消費者、高齢者には歓迎だ。処方薬をMedicareの対象にする法案や、処方薬の価格を抑制する法案を、議会が通すことができなかった年には、こうすることが最善の方策だ」と。ブッシュ大統領の得点1ですね。

24日(1) 生産性向上が政策目標 Source : Productivity in the 21th Century (AEI)
昨日(23日)、労働省(DOL)AEIの共催カンファレンスに出席した。目玉は、FRB議長Dr. Alan Greenspan。スピーチは、原稿通り。いつもながら、生産性向上が健全な経済成長、通貨の安定の大前提という主張が、繰り返されていました。彼が何を話すか、聴衆もメディアも、本当によく注目している。逆に彼の講演が終了した後のセッションは、少し寂しくなってしまった。

もう一つ、驚いたのは、Elaine L. Chao労働長官。朝9時から午後3時過ぎまでの会合だったが、途中、30分ほど中座しただけで、あとはずっと着席して、出席者達の意見に耳を傾けていた。行政府のトップがこれだけの時間を割いて参加するということは、日本ではあまり考えられない。また、それだけ、労働省として生産性の向上を重視しているということだろう。

Chao労働長官は、アメリカで初のアジア系女性閣僚で、その経歴も華々しい。また、Heritage FoundationのFellowとして研究活動を行っていたことなどから考えると、バリバリの共和党員というイメージが浮かぶ。彼女のスピーチは、極めてクリアで、丁寧な言葉遣いをし、いつもにこやかにしているので、大変わかりやすく、好印象を与える。昨日の会合でも、終始にこやかにしていた。昨日の会合は、まるで、政府高官、研究者、経営者達が、Chao労働長官にレクチャーしているかのようであった。

そのChao労働長官のClosing Remarksで、印象に残ったのは、次の2点。
日本の労働政策も、こうした政策目標を立ててもらいたいものだ。やたらに「雇用の維持・確保」とばかり言っていて(特に政治家)、失業者を雇用すると補助金、高齢者を雇用すると補助金、と補助金行政に走っている。経済のダイナミックな展開を支援する、またはそれに応じた労働の供給が行われるようにすることが、最大の政策目標なのではないだろうか。セーフティネットは大事だが、そればかりでは、補助金を通じて、何もかも国有化されていくだけではないか。

もう一つおまけ。Chao労働長官に秘書が同行していたのだが、彼があまりにも日本の大臣秘書とよく似ていて、微笑ましかった。労働長官入場の際、大きく重そうなかばんを2つ持って入り、一つは長官の足許に残し、自分は少し離れた席につく。長官が動くとさっと立ち上がる。車に乗るときも、かばんを長官の車に乗せると、自分はもう一台の車に走って乗り込む。いずこも大臣秘書は大変そうだ。



24日(2) 労働組合は集金マシーン Source :
10月22日、The Center for Responsive Politicsが、"Blue Chip Investors : The Top 100 Donors to Federal Elections, 1989-2002"を発表した。これは、1989年から2002年の間に、誰が誰にどれだけ政治献金してきたかを示す資料だ。

まず、献金者トップ100を見ると、企業が51、労働組合が27、専門家団体17、特定分野の団体等5となっている。驚くのは、労働組合で、トップ10では6つ、トップ20でも12の組合がランクされている。他方、企業は、トップ10ではたった1社(Philip Morris)しか入っていない。また、業界団体では、不動産協会、医師会がトップ10に入っているのは、日本の構図とよく似ている。

企業の政治献金を産業別、企業別に見てみると、最も多いのは金融関係であり、次いで、情報通信、製薬、タバコの順になっている。
そして、この労働組合の政治献金は、ほとんどが民主党に流れている。その結果とも言うべきか、政治家の受領額トップ20では、民主党が16人、共和党が4人と、圧倒的に民主党議員が上位を占めている。ちなみに、民主党のトップ(全体でもトップ)はRichard A. Gephardt下院議員、共和党トップ(全体では2位)はGeorge W. Bush大統領だ。

アメリカの労働組合の加入率は、全体で13.9%(1999年)、民間企業では既に10%を割っている。このように、アメリカの労働組合は、一般の被用者の代表ではなくなっている。その労働組合から、これだけ多額の政治献金が民主党に流れている。しかも、労働組合幹部は、一般の組合員には想像もつかない高額の報酬を得ている(Topices 9月13日(2)「労働組合幹部の報酬」参照)。いずれの原資も、労働組合員の組合費と個人献金だろう。こんな構図のままで、民主党や労働組合は労働者の代表と言い続けられるのだろうか?

25日 企業が医療保険を提供する理由 
Source : Employer Attitutes and Practices Afecting Health Benefits and the Uninsured (EBRI "Issue Brief" Oct. 2002)
現役世代(64歳以下)の公的医療保障制度のないアメリカで、企業が提供する医療保険制度は、大変重要な役割を果たしている。現役世代の約3分の2が、企業が提供する医療保険によってカバーされている。

では、なぜ企業が医療保険を従業員に提供するのか。その理由を、過去の文献、アンケート調査、グループ・ディスカッションをもとにまとめたのが、上記sourceである。

この論文で示された要点は次の通り。

  1. 企業が医療保険を提供する最大の理由は、できるだけ有能な人材を採用し、引き留めておくのに、医療保険が大変重要な役割を果たすと考えているからだ。また、生産性の向上にとっても重要だと考えられている。

    PERCEPTION

  2. 多くの大企業は、従業員の全員または大半を医療保険でカバーしたいと考えているものの、ここ数年の医療費高騰により、従業員へのコストシフト(保険料一部負担、窓口負担、免責額)が増えている。また、退職者医療も縮小しつつある。中小企業では、医療保険の提供を止めようとすらしている。

  3. 夫婦とも働く世帯が過半を占める中、他の企業で働く配偶者までも保険の対象に含めることへの抵抗感が強まっている。

  4. 企業レベルでは、無保険者問題の解決は重要との認識は持ちつつも、具体的な検討にまでは至っていない。過去にも、無保険者対策がいくつも出されてきた。典型的な例は、@国民全員を対象にした公的医療保険制度を創設する、A企業に医療保険の提供を義務付ける、というものだ。一部の経営者は、これらの案に理解を示したものの、多くの企業は、「民間の医療保険の方が効率的」、「医療コストのコントロールは自ら行いたい」、「コストアップにつながる」などの理由により、強く反対してきた。

  5. 企業に医療保険提供を義務付ける手法は、大きく分けて2つある。一つは、"Play or Pay"と呼ばれるもので、自ら従業員に医療保険を提供するか、公的な医療保険制度に保険料を支払うか、の選択を義務付けるものだ。唯一ハワイ州でこの方式が導入されているが、抜け穴が大きく、皆保険には程遠い。もう一つは、クリントン前大統領提案で、企業に医療保険提供を義務付けるかわりに、企業が負担する保険料に上限(保険料の80%、基本給の7.9%)を設ける、というものだ。既に医療保険を提供している大企業は、負担が軽減される一方、大企業の従業員や、中小企業は負担が増えるということで、強硬に反対した。

  6. もし、政策目標として、医療保険のカバー率の向上を掲げるのであれば、ビジネス界の理解とリーダーシップが不可欠である。

今年の中間選挙を控え、全米商工会議所とAFL-CIOは、「無保険者をなくそう」キャンペーンを開始した(Topics 2月12日 「医療保険改革と選挙」参照)。しかし、このような運動が単なるキャンペーンに終始していては政策目標は達せられない。実現可能性のある提案が必要となっている。国民皆保険構想は、1935年のSocial Security Actを議論している頃からあるといわれている。クリントン提案が頓挫して、またしばらく時間が必要となった。アメリカは、1世紀かけても改善できない政策課題を抱えている。

29日 医療保険の新顔 Consumer-Driven Health Care Source : APWU Health Plan's Consumer-Driven Option

間もなく、連邦政府職員とその家族900万人のOpen Seasonが始まる。アメリカの現役労働者には、公的な医療保障制度がない。従って、現役労働者達にとって大変重要なのが、職場・雇用主が提供する医療保険プランだ。この雇用主が提供する医療保険プランは、1年単位で更新されていくため、毎年11月頃、雇用主が次の年の医療保険プランについて見直したり、保険会社を変更したり、従業員に選択肢が与えられていれば従業員はその選択を見直したりする。Open Seasonとは、比較的従業員が多い職場にあるもので、次の年の医療保険プランについて詳細な情報が事前に提供され、今の保険プランを継続するか、別の保険プランを選択するか、オプションをつけるのかはずすのか、という選択を従業員が決定し、申告する期間のことを指す。

連邦政府職員の今年のOpens Seasonは、2002年11月11日(月)から2002年12月9日(月)までとなっている。この期間に、連邦政府職員は、2003年の医療保険について選択を決定し、その旨を提出しなければならない。

連邦政府職員が選択できる医療保険プランには、従来型の出来高払い制から、管理の色彩が強いHMO、両者の特徴を組み合わせたようなPPOなどのプランがある。また州によって、医療保険料が異なる場合もある。ここに、来年、一つの新しいプランが導入される。Consumer-Driven Health Care Plan(以下「CDプラン」)である。

このCDプランは、雇用主の医療保険料の拠出方法が、確定拠出型企業年金(Defined Contribution Plan)に似ていることから、かつてはDC型プランとも呼ばれていた。しかし、従業員の選択性が高いという特徴を強調するため、最近は、CDプランと呼ばれることが多くなっている。

民間企業では、このCDプランの導入が既に始まっており、近年注目を浴びているが、連邦職員対象のプランとしては、初のお目見えとなる。

ここで、連邦職員を対象とするCDプランの概要について、まとめておく。

  1. プロバイダー: American Postal Workers Union Health Plan (APWUはAFL-CIOのメンバー)

  2. 対象者: 全連邦職員・郵便職員、退職者とその家族

  3. 医療保険プランは、次の図のような3段階になっている。

    HOUSE


  4. 同プランと契約している医療機関での予防的治療は、従業員負担なし(上図右側の矢印)。

  5. Personal Care Account (PCA)(1階部分):従業員一人あたり年間$1,000(従業員と家族の場合は$2,000)が、均等に割り当てられる。最初は、この勘定から、実際に消費した医療費を支払っていく。これが、CDプランと呼ばれる所以である。仮に、PCAを使い切らずに残った場合、$4,000(従業員と家族の場合は$6,000)を上限に、翌年以降に繰り越しできる。従って、無病息災の年が多ければ、このPCAの残高は増えていく。

  6. Member Responsibility(2階部分):年末より前にPCAを使い切ってしまった場合、それ以降の医療費については自己負担となる。ただし、年間$600(従業員と家族の場合は$1,200)が上限。いわば、次に述べる3階部分のdeductible(免責額)のようなもの。

  7. Traditional Health Coverage(3階部分):PCAを使い切り、その後の医療費もMember Responsibirityの$600(従業員と家族の場合は$1,200)を上回った場合、それ以降の医療費については、伝統的な出来高払いプランを適用する。ただし、自己負担割合が次のようになる。
    Service
    契約医療機関
     
    契約外医療機関
    外来診療・入院費 15%   40%
    処方薬 25%   not covered
    救急診療 15%   15%

  8. ただし、Member Responsibility(2階部分)とTraditional Health Coverage(3階部分)での自己負担額の上限があり、契約医療機関の場合は$4,500、契約外医療機関の場合は$9,000ドルとなる。

CDプラン(上記のプランでは1階部分)では、従業員個人個人の家族構成や健康状態に関わらず、一律に医療コストを決定できるため、医療コストのコントロールがやりやすいと言われている。また、従業員も、医療機関の選択や、医療行為の優先順位を自ら決定できるため、個人のライフスタイルや選好に合わせた医療行為を選択できるというメリットがある。

他方、CDプランを好むのは、若くて健康的な従業員である。高齢や持病を持つ従業員は、すぐにPCAを使い切ってしまい、高めの自己負担をしながら医療行為を受けなければならない。従って、CDプランは若くて健康的な従業員の加入率が高まり、医療コストも抑制される。高齢者、病気がちの従業員は、伝統的な出来高払いプランや、PPOプランを選択する確率が高くなるため、これらのプランの保険料が引き上げられるという問題が生じる。

また、CDプランは、従来雇用主が負担していた医療費の一部を従業員に肩代わりさせるための制度だとの批判もある。従業員の医療に関する教育が不可欠との指摘もある。

選択制と自己責任を迫るプランが医療でも普及し始めている。そうしたプランを、AFL-CIO加盟の労働組合が提供し始めるというところが興味深い。医療という個人の毎日の生活に密着した部分だけに、今後の動向が注目される。

30日 WorldComの引き止めボーナス(その2) Source : WorldCom Bonuses Approved (Washington Post)

Topics 10月22日 「WorldComの引き止めボーナス」で紹介した、WorldComのretention bonus案が、破産裁判所から許可された。そのポイントは次の通り。

  1. 総額2,500万ドル
  2. 対象者は325人。企業幹部およびその他従業員。ただし、トップ4人の経営幹部は対象となっていない。
  3. 一人あたりの金額は、$20,000〜$125,000。3回の分割払い(一括で払うとその時点で辞めてしまう可能性がある)

審判にあたり、裁判官は、「複数の株主より、この引き止めボーナスの公平性と賢明性に疑問があるとの書簡を受け取った。しかし、このボーナスプランが債権者の利益になるかどうかが判断基準である」と述べた。これだけ短期間に破産裁判所が結論を出すところをみると、Chapter 11の過程においてretention bonusを出すのは、ごく一般的なのだろう。

31日 Executive達のseverance pay Source : Bank of America to Limit Execs' Severance (Los Angeles Times)
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Bank of Americaの役員達の離職手当(severance pay)が制限されることとなった。4月の株主総会で、Teamstersからの提案が過半数で可決され、それが具体的に決まったというわけだ(Topics 6月7日「企業トップの離職手当て」参照)。現在の役員達の任期中には適用されないものの、任期を更新した場合には、そのルールが適用される。具体的には、株主の事前承認がなければ、severance payは(年収+ボーナス)の2倍を越えて支給してはならないということだ。

上記sourceによれば、アメリカ企業幹部のseverance payは、年収+ボーナスの約3倍というのが相場だそうだ。ちなみに、BOAのCEO、Lewis氏の2001年の年収は133万ドル、ボーナスは520万ドルなので、相場であれば約2000万ドルとなる。Lewis氏の任期は2004年9月30日までなので、この間に退任しても、2倍の制約はかからない。2004年9月以降、契約を更新した場合には、2倍ルールが初めて適用になる。

企業の不正や業績不振の最中に退陣した幹部に巨額の離職手当が支払われるケースが目立っている。こうした流れに歯止めをかけようというわけだが、まだまだこのような制約を設ける企業はごく一部にすぎない。

離婚裁判の中で、退任後もGEから数多くのベネフィットを受け取っていることを暴露されたJack Welch氏だが、裁判が進む中で、彼の現在の生活振りがさらに白日のもとにさらされている。

GE復興の立役者なのだから、それくらいは当然、という見方もあるだろうが、私などはちょっとやりすぎじゃないかと感じる。実際に会社の利益を稼ぎ出しているのではなく、過去の業績による報酬としては多すぎるのではないか。利益を稼ぎ出したときには、それなりのボーナスやストックオプションで充分報われているはずだ。

我が家には、GEの家電が多く設置されており、修理も何度か依頼している。その修理にやってくるサービスマンが実に実直で紳士的なのが印象的だ。もう間もなく退職ではないのかという年齢と思われるが、時間に正確だし、修理箇所、修理作業の説明も丁寧かつ簡潔だ。修理すべきか、新品を買うべきかのアドバイスも的確だった。

多くのアメリカ企業は、人件費の節約・合理化のために、顧客とのインターフェースを、自動応答電話またはインターネットにしている。顧客の側としては、時間に制約されず、いつでもアクセスできるため、便利に感じる。しかし、そうして申し込んだサービスが実際に行われるかというと、それほど確実ではない。よく聞く話では、電話回線の設置やケーブルテレビの工事の作業員が、指定した時間に来ない、ひどいときにはその日一日待っても来ない、ということがある。アメリカの企業は、システムを構築するのは上手いが、現場がその通りに動かないうことが多い。そうした中で、GEとSearsのサービスについては、そういう経験をしたことがない。GEのシステムを支えているのは、我が家に来る実直なサービスマンなのだ。彼らが、Welch氏が現在GEから受け取っている金額を見てどう思うだろうか。きっと面白くないに違いない。そうした思いが、やがてシステムを動かなくしてしまうのではないだろうか。

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